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2015年12月7日更新
創傷ケアセンター・糖尿病・壊死・足・褥瘡・潰瘍・傷・治らない

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    創傷ケアセンターの利点
    貴方の足にこのような傷ができたらどうしますか?

    このような経過をたどる可能性があります。
    ① 皮膚科に行くと、皮膚科の先生にこれは皮膚科の分野というより、どちらかといえば循環器外科の分野なのでその科に行くよう勧められる。
    ② 違う病院の循環器外科に行ったら、まずは整形外科の先生に診てもらって、それから循環器外科に戻ってくるように言われる。
    ③ 違う病院の整形外科に行ったら、骨に異常はないので循環器外科に戻るよう言われる。

    これは極端なケースかもしれませんが、創傷ケアセンターに来れば、このような結果になることを防げる可能性があります。
    理由は:
    1.創傷ケアセンターでは外科、循環器外科、心臓外科、整形外科、内科、皮膚科、放射線科などの科が連携しています。創傷ケアセンターの医師と看護師が院内の異なる科と連絡をとりあっているので、自分でどの科に行けばよいのか判断しなくてよいのです。
    2.違う病院の違う科を巡っている内にどんどん時間が経ってしまいます。創傷ケアセンターに行けばこのような余計な時間を省くことができます。
    3.創傷ケアセンターでは治療中、治療後に訪問看護師、装具のための義肢装具士、歩行指導の理学療法士と密に連絡をとりあっているので自分で右往左往する必要はありません。
    小さな傷でも自己流の治療は治癒を遅らせることになります。また自己判断で異なった科を転々とする前にまずは地域の創傷ケアセンターに相談してみましょう。

     

    糖尿病用靴

    糖尿病があり、糖尿病用の靴とはどんなものか興味を持たれている方も多いのではないでしょうか? 今回は糖尿病用靴の特徴をご紹介します。

    ① 靴に入るインソールは、型取りをした特注のものです。クッション性
    があり、足を衝撃と外傷から守ります。

    A.インソールは、足に当たる部分から底に向かって

    1.プラスタゾート
    2.PPT樹脂(ポリプロピレンテフタレート樹脂)
    3.EVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)

    の3層になっています。

     

     

     

     

    B.インソールはリウマチ、足の手術などで変形がある場合、特注で詰め物を付けることができます。

     

     

     

     

    ② 靴の指部分に余裕があります。爪先の部分が高くなっており、ハンマー
    トウがあり、足指に傷ができたことがある人、できやすい人の足にも対
    応しています。

    靴の指部分に注目

     

     

    爪先部分に高さがあります

     

    ③ 靴幅が広い靴があります。お店で売られているものは3Eぐらいまで
    の幅の靴が多いです。しかし糖尿病用の靴は7E(より幅広)ぐらい 
    までの幅に対応できます。

    糖尿病用のインソールは特注であるため、足の変形があるなどの条件を満たした人だけに保険が適用されます。
    創傷ケアセンターでは義肢装具士と連携しているセンターも多く、治療中または治療後に糖尿病用靴とインソールが必要であると判断された場合、医師の処方を元に装具士さんを通して注文することができます。

     

    参照:http://www.apisfootwear.com

    低温やけどとは?
    低温やけどは60度前後で約1分、50度前後で約3分、45度前後でも約6時間、熱源が同じ部位に接触していると起こるといわれています。低温やけどの場合、低い温度でゆっくりとやけどが進むため、やけどが起こっていることに気づかず、症状が重くなってしまいます。熱傷進度がII度、III度*という重症にいたることもしばしば見られます。

    *熱傷進度II度: 熱傷が表皮と真皮に及び、発赤、腫れ、水疱がみられる。汗腺、毛嚢(もうのう)に影響が及んでいる時もある。 
    熱傷進度III度: 熱傷が表皮、真皮、皮下組織に及び、皮膚が白色になる。皮膚の表面が壊死していることもある。

    低温やけどの原因となる熱源例としては
    • 使い捨てカイロ
    • 湯たんぽ
    • あんか
    • 電気こたつ
    • ホットカーペット
    • ラップトップノートパソコン
    などが挙げられます。

    一度皮膚が破れてしまったら、創傷として治療を行います。傷が深い場合もありますので、医師に必ず診てもらうのがいいでしょう。創傷ケアセンターでは熱傷の治療もしています。お近くの創傷ケアセンターで診てもらうこともいいでしょう。

     

    参照: 実地医家における創傷治療のポイント 低温熱傷と褥瘡の管理を中心に MEDICAMENT NEWS 第2046号(13)
    http://www.imc.or.jp/column/mame0601.html

     

    糖尿病がある患者の1年に1度のスクリーニング検査は、系統だてて行う必要があります。皮膚、筋骨格、血流、知覚、の4つの要素に注目します。この検査の目的は潰瘍の予防、足切断の予防です。

    糖尿病足のための年間包括的検査

    目的

    1年に一度包括的な足の検査をすることにより、

    • 足部合併症のリスクを評価するのに必要なデータを収集
    • 患者の現在のリスク位置を決定
    • 足部検査所見の文書化
    • 治療靴の必要性を決定
    • 足専門医への紹介の必要性を決定
    • 自己管理教育の予定作成
    • 適切な管理プランの作成
    • フォローアップと紹介の予定作成

    方法
    年間包括的検査フォームを使って所見を文書化、又は既存の糖尿病ケアプラン内に問診と足検査の内容を記入。足検査は医師または訓練された医療従事者によって行われる。検査前に患者は靴、靴下を脱いでおく。

    1.糖尿病性合併症の有無  指示に従い質問に回答する。

    問1:糖尿病または過去の切断からくる、大小を問わない血管系の合併症の既往がありますか?
    末梢神経障害、腎症、網膜症、末梢血管疾患、心臓血管疾患などを診断された患者は大抵糖尿病を数年罹患しており、糖尿病足部障害のリスクがある。切断の既往がある患者は、生涯ハイリスクに分類される。切断の種類と日付を記入すること。

    問2:現在足部潰瘍がある、または足部潰瘍の既往がありますか?
    足部潰瘍の既往がある患者は、生涯ハイリスクに分類される。この患者は常に、新たな潰瘍発症、足変形の進行、そして下肢切断のリスクを背負うことになる。

    2.現在の症状  指示に従い質問に回答する。

    問1:歩行中にふくらはぎの筋肉に疼痛があるか?(少しの歩行でふくらはぎや大腿に痛みが起き、休むと痛みは軽減する)
    この質問は患者の間欠性跛行の有無を調べるものである。痛みは末梢血管疾患または、血流の悪さを示唆する。

    問2:前回の足検査以降、何か足に変化が見られるか?
    患者は皮膚や爪の状態の変化に気づくか、またモノフィラメントを用いた自己テストをしていれば、知覚の変化に気づくかも知れない。

    問3及び問4:靴に何か問題があるか? 靴下・ストッキングに血液や浸出液のようなものが見られるか?
    新しい靴は予期せぬ加圧を起こしたり、皮膚に炎症を起こすことがある。足部創傷からの出血、浸出液は重大な足部疾患の最初の徴候である。

    問5:喫煙歴は?
    喫煙は血管疾患の大きなリスク因子であり、糖尿病性足疾患に影響をもたらす。

    問6:患者の最近のヘモグロビンA1c値は?
    ヘモグロビンA1c値の上昇はそれだけで切断のリスクが2倍になる。
    3.足検査 指示に従い質問に回答する。

    1)皮膚、毛、足爪の状態
    質問:皮膚は薄く、もろく、光沢があって、発毛がない状態か?足爪は厚かったり、伸びすぎていたり、陥入があったり、菌感染していないか?
    • それぞれの足の足趾間及びつま先から踵までを検査する。問題があれば描写又は足図上に状態を記入する。薄く、もろく、光沢があって、発毛のない皮膚は血流の低下を示唆するものである。発汗機能の損失は皮膚のひび割れを招き、ひび割れは感染を引き起こす。
    • 足爪にマニキュアが塗ってあれば除去する。足爪に陥入、変形、菌感染がないかチェックする。厚い爪は血流または真菌による疾患を示唆する。もし重度の足爪や乾燥皮膚の問題があれば、患者を足専門医又はフットケア専門の医療従事者に紹介する。
    患者の皮膚状態を計測、描写、記入する。
    • 鶏眼、胼胝、潰瘍前病変(水泡、ヘマトーマ等開いていない病変)、潰瘍があればサイズ計測してフォームに記入(描写)する。
    • どのタイプの病変なのか、適切なマーク付けをする(胼胝、潰瘍、発赤、温感、浸軟、潰瘍前病変、ひび割れ、腫脹、乾燥など。皮膚がもろく、湿潤で軟らかいと浸軟は起きる。)
    • 著明な乾燥、発赤、温感(足の他の部分又は反対足より温かい)があればその位置を記す。
    2)筋骨格系の変形
    • 糖尿病による運動神経障害の結果、足の変形が起こりえる。内在筋の機能が損失し、他の筋肉のバランスが崩れることにより足趾が屈曲してしまい、又筋肉の消耗が起きる。足底の脂肪層はずれ、中足骨骨頭はより突出する。関節の可動域が限定されるため、足趾及び足部の怪我の可能性もでてくる。シャルコー足であれば骨と関節により重大な変化が現れ、足は腫脹し熱感がある。

     

     

     

     

     

    • 足の変形を記入する(足趾変形、外反母趾、尖足、中足骨骨頭突出、シャルコー足など)。中足骨骨頭の突出は足中部の崩壊など重大な変形の証拠である。

    3)足部の脈
    両足部の脈(後頸骨および足背動脈)が触れるかチェックし、脈の有無を記入する。
    4)知覚検査
    モノフィラメントを用いて知覚検査を行う。正しく使用すれば10gの力がかかるようになっている。調査によれば10gの力を感じることができれば、その箇所の潰瘍発症リスクは低いとされている。知覚の欠陥はまず足背部から現れ、ストッキング分配式に基部へと進むため、足趾は防御知覚を最初に失う部位ということになる。
    • 知覚検査は静かに落ち着ける場所で実施する。患者は、検査実施者がモノフィラメントをあてるところを見てはならない。
    • 本検査の前に、患者の手を用いて検査をし、これからどのような検査をするのかを患者に見せる。
    • 検査フォームには検査する位置が5箇所記してある。
    • モノフィラメントは皮膚表面に対し直角にあてる。(図A参照)
    • ゆっくりスムーズな動きでモノフィラメントが曲がるように適切な力を加えてあてる。(図B参照)
    • 検査箇所それぞれにかける時間は、モノフィラメントを皮膚表面につけて離すまでの合計時間を1~2秒とする。
    • モノフィラメントは潰瘍、胼胝、潰瘍跡、壊死組織の上に直接ではなく、周囲に沿ってあてる。最初の検査箇所から次の検査箇所に進むとき、皮膚にモノフィラメントが触れたまま移動してはならない。
    • 「1回目」「2回目」などと発声しながらモノフィラメントをあてたり、あてなかったりして、実際には何回目のときにモノフィラメントが触れたかを患者に答えてもらう。その順番はランダムにする。

    4.リスク分類
    足部検査の結果に基づき、患者のリスク分類をする。「低リスク」、「再発の高リスク」、「切断の高リスク」などが、管理ガイドラインと共にチャートに記される。高リスクとされた患者にはより包括的な評価が必要となる。
    一旦高リスクとされたら血管外科手術を行わないとその状態はまず改善しない。その後の受診では更なるリスク因子のアセスメントをし、足に傷ができないよう保つことと新陳代謝のコントロールにフォーカスしなくてはならない。患者には受傷を避けること、装具を使用すること、予防的自己ケアの教育を行う。

    リスク分類定義 マネジメントガイドライン
    低リスク患者
    下段に記した5つの高リスク因子を持たない
    • 年1度包括的足部検査を実施
    • 適切なフットウェアの評価と推奨
    • 予防的自己ケアを患者に教育
    • 医師が任意で視覚的に足を検査
    高リスク患者
    以下の項目に1つ以上あてはまる
    • 防御知覚の損失
    • 足部の脈が触れない
    • 足変形
    • 足部潰瘍の既往がある
    • 切断の既往がある • 年1度包括的足部検査を実施
    • 受診時は毎回足を視覚的に検査
    • 予防的自己ケアのデモンストレーション
    • 足専門医、教育担当者への紹介(シャルコー足は常に専門医へ紹介)
    • 適切なフットウェアの評価と装着指示
    • カルテに高リスクのマークを貼付
    潰瘍がある足、感染がある足のマネジメントガイドライン
    • 足底に開放創のある患者には決して通常の靴をはかせない。除圧靴の作成要
    • 荷重調整と足の保護を助ける装具の作成
    • 頻回に創傷アセスメントを実施し、創傷ケアを提供
    • 予防的な足の自己ケア方法をデモンストレーション
    • 創傷ケアに関する患者教育
    • 足専門医と糖尿病教育担当者への紹介
    • カルテに高リスクのマークを貼付

    5.フットウェアのアセスメント

    問1:患者の履いている靴は適切であるか?
    問2:足底盤が必要ではないか?
    問3:装具作成が必要ではないか?

    靴の内部を見て、異物、中布の裂けがないか、クッションは適切かをチェックする。不適切な靴、フィットしていない靴は糖尿病足の潰瘍発症に大きな影響を及ぼす。患者に適切なフットウェアについてコンサルする。全ての糖尿病患者は靴のフィットとスタイルに特別な注意を払うべきで、つま先のとがった靴やつま先の開いた靴、ハイヒール、草履、サンダル等は避けるべきである。
    フットウェアの素材、構造もアセスする。プラスチックのように通気性・伸縮性のない素材は避けるべきであり、薦めるべき素材はキャンバス地、皮革、スウェードなど通気性・伸縮性のあるものである。またフットウェアは靴紐、マジックテープ、金具などで調整のきくものにする。フットウェアのアセスメント結果を記録する。
    適切にフィッティングした運動靴、ウォーキングシューズなどは毎日履くのに薦められる。既成の靴を履く場合は、足の変形があってもあたらない余裕のあるものであることを確認する。高リスクの患者には、足の変形具合や潰瘍の既往に応じてDepth-Inlay靴またはカスタムメイドの足底盤作成が必要となることもある。

     

     

     

     

    6.教育

    問1:患者は以前フットケア及び糖尿病に関する教育を受けたことがあるか?
    問2:患者は適切なフットケアを実施できるか?

    患者が以前教育を受けたことがあるか否かを記入する。
    フットケア及び他の自己ケアに関する患者教育は予防的糖尿病ケアにおいて重要である。
    患者が適切な足の自己ケアをできる事を観察する。必要であれば禁煙クラスに紹介する。
    患者がヘモグロビンA1c検査の必要性、結果を理解しているか確認する。

    7.マネジメントプラン
    患者教育の実施、ヘモグロビンA1c、フットウェアの推奨、紹介、フォローアップを含む診断検査結果等をマネジメントプランに記入する。
    備考:足病変のマネジメントは異なる医療従事者の責任にある場合がある。たとえばあるコミュニティーでは特殊な糖尿病足ケアを提供するのに看護師がホームケアサービスまたは治療を提供する。
    靴は足を保護、サポート、足の変形に対応しており、足の形に靴の形が合っていなくてはならない。


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